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fffujiの蓄音機写真館

−DVDという最新のオーディオ技術とはまったく逆のお話ではありますが…。

 わたしのクラシック音楽趣味は父からの影響、父はその父からの影響。血筋というものを感じます。
 爺ちゃんは蓄音機とたくさんのSPレコードを持っていました。父の話によると、なんと退職金を全部SPレコードに使ったそうです。よく言えば趣味人、悪く言えば変人ですね。
 1970年代末だったでしょう、爺の家を引き払うにあたって、蓄音機とSPレコードはうちが引き取りました。岐阜の実家です。時々聞いていましたが、竹製の針を使い切ってしまってからはほとんど聞かなくなりました。鉄製の針だと当然長持ちするのですが、逆に大事なレコードの溝を傷めてしまいますので、身を削られるような思いがするのです。

 大学進学とともに元いた関西で一人暮らしを始めてからしばらくはSPと離れていましたが、LP、SPどちらも聞くことができるというプレイヤーを買ってから (1990年くらいだったと思います)、めぼしいものを実家から持ってきました。
 ヴァインガルトナーの「エロイカ」や、ラヴェル自作自演の「ボレロ」を1面ずつDATに録音して、つなぎ合わせたものを聞いたりしていました。
 また唯一自分でお金を払ってSPレコード買ったのもこの時期でした。マルグリット・ロンのモーツァルト:ピアノ協奏曲第23番。これも録音してよく聞いていました。

 さらに数年前、弟の友人の実家の蔵に眠っていたSPレコードをいただくという出来事もあり、わたしのSPコレクションはまた増えることになりました。まぁ、その分は少ししか聞いていないですけど。

 SP&LPプレイヤーでもSPレコードを聞く場合でも4分前後でレコード面を変えなくてはいけませんから、どうしてもかじりついて聞く感じになります。CDのように片手間でなんかで聞けないわけです。
 蓄音機で聞いた昔は今とは比べ物にならないほど貴重で贅沢な時間であったでしょう。
 気軽に名演奏家の演奏が聞ける現在を当たり前と思ってはいけないなと思わせます。

 


 ↑ 実家にある蓄音機。蓄音機といえばイメージする朝顔のスピーカーはありま
せん。ターンテーブル下部がスピーカーで、前面にはめ込まれている板の取り外しが
ささやかな音量調節。


 ↑ SP&LPプレイヤー。こちらは微妙な音量調節可能。もちろんステレオにつないで
聞くこともできます。バックにはトスカニーニの「エロイカ」と クライスラー&
ブレッヒのブラームス:vn協奏曲を飾ってみました。

 


 ↑ フルトヴェングラー指揮 伯林フィルハアモニック管弦樂團 (解説書の表記)
による ベートーヴェン:交響曲第5番 <コロムビア*JS一〜五-S (5枚組)>
1937.10 ベートーヴェン・ザールにおける、フルヴェン2度目の録音。
発売は1938年で、爺はその年の4月30日に買っています。となると録音後半年ほどで
発売されたということになり、現在と変わらないような素早さに驚いてしまいます。
なお、日本発明の名称「運命」は使われていません。


 ↑ レコード内部と解説書


 ↑ 解説書内 唯一の写真


 ↑ 京極鋭五なる人物による フルヴェン演奏会鑑賞記とインタビュー記事。
ごく短いものでちょっと物足りない気がしますが、それでも日本の若者は西洋
音楽の、特にベートーヴェンなどの古典を愛好しているという言葉に喜んだり、
その話に関連して 「自分はアナトール (無調音楽) を好まない。自然の音樂的法則に
反してゐると思う。」の言葉など、やはり興味深い。貴志康一氏の名が出てくるのも。


 ↑ 山根銀二氏による譜例満載、懇切丁寧な曲目解説

 


 ↑ ワルター指揮 ウィーン・フィルハアモニック管弦樂團による ベートー
ヴェン:交響曲第六番 (田園交響曲) <コロムビア*J8748−52 (5枚組)>
1937年録音で、「赤地に金の麦の穂」ジャケはオールド・ファンにはあまりにも有名。
爺は1941年12月21日購入。第ニ次大戦真っ只中! 日本軍が東南アジア各地で勝利を
収めていっている時に当たるようです。音楽は同じ枢軸国のものながら、曲目等の
アルファベット表記は英語が使われているというが面白い。−それにしてもこの
愛すべき録音を SP、LP、CDで所持していることの、なんと喜ばしきこと。


 ↑ 解説書表紙


 ↑ フルヴェンの5番とは違って、あっさりと曲目解説が始まっています。

 


 ↑ トスカニーニ指揮 NBC響の ベートーヴェン:交響曲第5番 1939年録音

 


 ↑ フルトヴェングラー=BPによる「セビリアの理髪師」序曲。1枚ものには専用の
袋というのは作られなかったようです。解説もなし。袋には広告絵描きであった爺の
特徴ある字で「昭和11.9.29」と購入日が。ポリドールの袋には“ 作曲家・指揮者”
プフィッツナー (フィッツナーと表記) の宣伝。一方裏にはR.シュトラウス博士の
指揮姿のシルエット。しかしプフィッツナーとは違って、シュトラウスにはどういう
わけか“ 指揮者”としか書かれていません。


 ↑ ラヴェル自作自演、コンセール・ラムルーo との「ボレロ」。2枚のうちの1枚目。
昭和8.9.30購入。画像の袋は裏側で、エーリッヒ・クライバー (クライベル博士と
表記)のシルエット。表はワルター・レーベルヒ (Rehberg なので “レーベルク”
でしょう) なる聞いたことのないピアニストの写真。−袋が破れているのはわたしの
せい。2枚目が行方不明であるのも同様で、ラヴェルの要求によって行われたという
あの特徴あるトロンボーンのソロが聞けない状態です…。

 


 ↑ 見開き1枚の紙 (部分)。レコードを挟んで保護するためのものでしょうか。
コロムビアの錚々たる名演奏家たち。ディジタル録音期まで活躍した人もいるのが
面白いですね。−ところでロッテ・レーマンの下の人物、図らずも名が隠れてしまい
ましたが誰だかわかりますか? ドイツの名ピアニストです。
 それにしても爺は、この数十年後、自分の孫がこの大月楽器に勤めることになる
とは夢にも思わなかったでしょう。こうした老舗が姿を消してしまったのは本当に
残念なことです。


 ↑ 裏面の一部です。中学生時代これを見て、「伯林 (ベルリン)」、「倫敦 (ロン
ドン)」、「紐育 (ニュー ヨーク)」、「西班牙 (スペイン)」、「土耳古 (トルコ)」、「蝙蝠
(こうもり)」なんて漢字を覚えました。他方、ドヴォルザークの「新世界より」はまだ
第五番で、ショパンの子守唄は「揺藍歌」と書かれています。

 こちらにはフルヴェンのベートーヴェン第5番が「運命交響曲」と書かれています。
掲載したものと同録音でしょうが、商品番号が異なっているところをみると、かなり
後のカタログなのでしょうか。カラヤンやゼルキンなどが活躍しているのですから
そうなのでしょうね。
−ショスタコヴィッチの交響曲第九番 (クルツ指揮) がありますので調べてみますと、
初演は1945年でした。やはり戦後のものですね。しかしこの時代のショスタコ、売れ
なかったでしょうねぇ。演奏を聞いてみたものです。

 
 ***
 

 再生による溝の消耗に加えて保存状態がいいわけではないので、価値としては大きくないでしょうが、昔の演奏家が好きな者にとってはやはり興味深く、また愛着あるものです。今後も折に触れて取り出し、わたしの生まれる以前の時代の音楽とその鑑賞を偲びたいと思います。

 今回初めて気づいたことですが、爺はLP時代にはクラシック音楽趣味をやめてしまったようですね。LPは1枚も残さなかったと思います。初期LPを残してくれたらさらに面白かっただろうに、とちょっと残念に感じられました。