イベール作品集 (管弦楽曲中心)　フレモー，マルティノン(cond) 他 （外EMI・2CD）

曲目

●イベール：
[1] ディヴェルティスマン
[2] 3つの小品 (fl, ob, cl, fg, hrn)
[3]「寄港地」
[4] 海の交響曲
[5] 道化師の踊り (映画 ｢舞踏への招待｣ より)
[6] フルート協奏曲　§
[7] 祝典序曲
[8] ドン キショットの5つの歌
[9] ルイヴィル協奏曲
[10]「架空の愛へのトロピズム」
[11] バッカナーレ

演奏者

■[1,4,9,11]ルイ・フレモー指揮 バーミンガム市so
[2]デニス・ブレイン(hrn)　ガレス・モリス(fl)　レナード・ブレイン(ob)　スティーヴン・ウォーターズ(cl)　セシル・ジェイムズ(fg)
[3]レオポルド・ストコフスキー指揮 フランス放送国立o
[5]ロバート・アーヴィング指揮 シンフォニア オヴ ロンドン
[6]エマニュエル・パユ(fl)　デイヴィッド・ジンマン指揮 チューリヒ・トーンハレo
[7,10]ジャン・マルティノン指揮 フランス放送国立o
[8]ジョゼ・ヴァン ダム(br)　ケント・ナガノ指揮 リヨン歌劇場o

ディスク・データ

CD// 海外盤 {ADD, DDD} EMI＊0 94693 2 (2枚組)
　発売：11年／録音：[2]1957, [3]58, [5]60, [1]73, [7,10]74, [4,9]75, [8]90, [6]2002年／収録時間：73+72分
△モア 20世紀クラシックス・シリーズ　△スリムケース・タイプ　△ディスク＝MADE IN THE EU

コンディション

◇ディスク：1)A-〜B+/ 小スリキズ部分的にあり(強め含む＊動作確認済)，2)A-/ 小スリキズ少しあり
◇ブックレット：B+〜B/ シワ部分的にあり(強め含む / 角に強い小シワあり) 内部白地部分に軽い変色あり
◇プラケース：B+

録音データ・その他

☆[1]1973. 8，[4,9,11]1975. 8 以上バーミンガム大学大ホール，[2]1957. 8 ロンドン，[3]1958. 5 パリ・サル ワグラム，[5]1960. 6 ロンドン，[6]2002. 10 チューリヒ・トーンハレ，[7,10]1974. 10, 11 パリ・サル ワグラム，[8]1990. 10, 11 リヨンにおける録音。
−EMIに残されたイベールの作品のうち管弦楽曲中心に集めたもの。[1,3]以外は録音が多いとは言えず、貴重といえるでしょう。[6,8]はディジタル録音。
−[7]は1939年 日本の皇紀2600年奉祝曲として書かれたもの。1940年 東京 歌舞伎座でおこなわれた演奏会にて山田耕筰の指揮、特別に結成された「紀元二千六百年奉祝交響楽団」によって初演されました。序曲という名にしては15分を要し、華麗で色彩的なオーケストレイション、活力と生気溢れ、また中間部の静かな部分も美しく、大変 魅力的な音楽です。−一方 [10]は晩年 1957年の作品。｢トロピズム」とは「トロピカル」とは関係ない語のようで (少なくとも直接的には)、動物や植物が一定の方向に向かう性質 (向性) とのこと。曲は9つの部分からなりますが、さまざまな作風を示しながら、それらが同じ方向に向かうということでしょうか。ジャズ風の部分は列車の走行をも思わせる調子のいい曲で、特に印象的です。これまで書いてきたさまざまなタイプの曲の総決算という意味があるのかもしれません。
−[2]は室内楽ですが 管楽合奏曲の佳作。第1曲と第2曲がテレビ番組「題名のない音楽会」で使われています。ブレインらの演奏があったとは。しかし闊達な演奏とは言えず、録音時 まだ現代音楽であったことが伺えます。
−[5]はイベールの「舞踏への勧誘」って?? と困惑しましたが、なんとジーン・ケリーのミュージカル映画「舞踏への招待」(MGM・1954年) のことと分かり、驚きました。｢舞踏への招待」は3部からなり、全篇セリフなし、ケリーが様々な映像的実験の中で踊りまくる意欲作。そうした内容のため MGMは当初 公開に躊躇、2年後にやっと封切ったものの 失敗。日本では一部と二部のみ別々の機会に短編として公開されました。イベールがその第1部「サーカス (邦題: 嘆きのピエロ)」の音楽を担当していたとは。｢道化師の踊り」はその中の曲ということでしょう。大衆的で賑やかな劇場音楽の雰囲気で [1]を思い出させます。私はミュージカル映画をたくさん見ていますが、この作品は「ザッツ・ダンシング」という過去のミュージカル映画のダンス・シーンを集めた映画で少し見たことがあるのみです。アニメーションと踊る第3部「シンドバッド」の一部で、R-コルサコフの「シェエラザード」の音楽が使われていました。