ベートーヴェン，ハイドン，Rシュトラウス 歌曲集　ヴンダーリヒ(T) （外PHILIPS）

曲目・演奏者

●[1] ベートーヴェン：｢はるかなる恋人に寄す」(6曲)
[2] ハイドン：スコットランド, ウェールズ民謡集 より 7曲〔1. ひっそりと流れよ わたしの小川よ，2. ひとりの旅人が来る，3. わたしは荒野に立って，4. わたしの羊が草をはみ，5. たそがれ時に，6. 僕のかわいい恋人よ，7. 赤いばら 白いばら〕
[3] R. シュトラウス：ひそやかな誘い Op.27-3，愛を抱いて Op.32-1，セレナード Op.17-2，明日 Op.27-4，献呈 Op.10-1

■フリッツ・ヴンダーリヒ(T)　[1,2]ハインリヒ・シュミット(p)　[2]ヴァルター・ヴェラー(vn)　ルートヴィヒ・バインル(vc)　[3]ヤン・クーツィール指揮 バイエルン放送so

ディスク・データ

CD// 海外盤 {ADD} PHILIPS＊420 852-2
　発売：88年／録音：[3]1962, [1,2]63年／収録時間：48分
△レジェンダリー クラシックス・シリーズ　△ノーノイズ・システム　△独語詞・英訳掲載
△ディスク中心部の刻印＝MADE IN W. GERMANY BY PDO，420 852-2 02 *
△プラケース＝ハード・タイプ

コンディション

◇ディスク：A-/ 小スリキズ少しあり 内外縁部分的にスリキズあり(強め含む)
◇ブックレット：B+/ シワ少しあり 内部白地部分に変色あり(内部一部強い)
◇プラケース：B

録音データ・その他

☆[1,2]1963. 5 ウィーン，[3]1962. 12 ミュンヘンにおける録音。
−[1,2]はORF、[3]はバイエルン放送の放送用録音で、これが国内初登場でした。確か[3]の2曲以外は商業用録音を残さなかった曲だけに貴重です。しかもいずれも録音がよく、素晴らしい歌唱。ヴンダーリヒは30半ばで事故死し、その後 その穴を埋めるようにペーター・シュライアーが現れたわけですが、ヴンダーリヒが長く活躍していればシュライアーの出現は遅れただろうという話を聞いたことがあります。シュライアーに比べるとヴンダーリヒはより人間臭く、感情豊かで、｢青春」を感じます。シュライアーは声質としてはもっと少年のような、天使のような美声でした。宗教曲にピッタリの折り目正しい歌唱。しかし一方で喜劇的な表現もうまく、その昔 スイトナー指揮の「フィガロの結婚」(DS) でバジーリオを見事に歌っていることにたまげました。ローゲやミーメなどの “妖怪どころ” を歌ってもウマイという芸の幅の広さを誇りますが、ヴンダーリヒのミーメ, ローゲなんて考えられない。彼は永遠の青春スターで、彼は老いることに抵抗して死んでしまったような気がします。−青春スターの魅力はこれらの歌曲でもいかんなく発揮されており、特に[1]は感動的。オペラの登場人物のように、多感な青年のように、感情豊かに聞かせてくれます。歌曲というジャンルは言葉の壁があり、特に日本では器楽作品のように評価されない傾向にあると思いますが、[1]はシューマンを思わせるロマンティックな魅力とともに、芸術的な名作です。−[2]はそれに比べるとさすがに素朴ですが、3つの楽器による伴奏の彩りも美しく、ヴンダーリヒが歌うとカッコイイ。そしてシュトラウスの名作をヴンダーリヒの輝かしい歌声で聞ける喜び。歌曲好きにはたまらないアルバムでしょう。