ヒンデミット：3つの交響曲，気高き幻想 他　ケーゲル＝ドレスデンpo 他 （BERLIN・2CD）

曲目・演奏者

●ヒンデミット：
[1]「画家マティス」(交響曲)
[2] トランペットとファゴット, 弦楽オケのための協奏曲
[3]「気高き幻想」組曲　§
[4] 交響曲 変ホ調
[5] シンフォニア セレーナ

■ヘルベルト・ケーゲル指揮 ドレスデンpo　[2]ルートヴィヒ・ギュトラー(tp)　エッカルト・ケーニヒシュテット(fg)　[5]ラルフ- カルシュテン・ブレムセル，ヴァルター・ハルトヴィチ(vn)　ヘルベルト・シュナイダー，ゲルト・グレッツシェル(va)

ディスク・データ

CD// 海外盤 {ADD} BERLIN Classics＊0090542BC (2枚組)
　発売：95年／録音：[1,3]1980, [4]81, [2,5]82年／収録時間：65+66分
△ディスク＝Made in Germany by optimal

コンディション

◇ディスク：2枚)A-〜B+/ スリキズ少しあり(小さめ / 強め含む＊動作確認済)
◇ブックレット：A-〜B+/ シワ少しあり(直線状) / 白地部分に軽い変色あり / 小さな汚れ少しあり
◇プラケース：B+〜B　◇フロント&バック・インレイ白地部分に軽い変色あり

録音データ・その他

☆[1]1980. 3，[2]1982. 3，[3]1980. 6，[4]1981. 4，[5]1982. 1 以上ドレスデン・ルカ教会における録音。(P) エバーハルト・ガイガー、(E) [1-3]ホルスト・クンツェ，[4,5]クラウス・シュトリューベン。
−ケーゲルが残したヒンデミット録音より。ケーゲルは交響曲「世界の調和」とピッツバーグ交響曲も録音していました。−ヒンデミットの代表作のひとつ[1]「画家マティス」は1934年作曲。同年 フルトヴェングラー&ベルリン・フィルによって初演されて大成功したものの、ナチスは「堕落の旗手」としてヒンデミットを非難 (ヒンデミット事件)、ヒンデミットの作品の演奏は禁止され、のちの亡命のきっかけとなった作品です。
−[4]交響曲 変ホ調はアメリカへ亡命した1940年作曲。同年 ディミトリ・ミトロプーロス指揮ミネアポリス響によって初演されました。4楽章からなり、急- 緩- スケルツォ風- 急という構成ですが、4'37+ 10'43+ 2'58+ 14'51 と偶数楽章が重要視されています。ブラスが活躍し、｢サンダーバード」のテーマ音楽を思わせる勇壮な第1楽章。悲歌に始まり、葬送行進曲のように盛り上がる第2楽章。この楽章は新即物主義、新古典主義的ではなく、かなりストレートに感情を表しています。この交響曲の白眉ではないでしょうか。−スケルツォ風の人を食ったような第3楽章から切れ目なしに第4楽章に入りますが、ピッコロなどが活躍する3拍子のフーガ風の音楽は真面目なようでやはりコミカル、皮肉的。感動的な終楽章のパロディにも聞こえます。しかし第2楽章の気分や第1楽章の勇壮さが現れ、いつの間にかコミカルさはなくなって盛り上がり、かっこよく終わります。
−[5]シンフォニア・セレーナは第二次大戦終結後の1946年、アメリカの市民権を得た年の作曲。和訳すると「穏やかな交響曲」というところでしょう。ダラス響の委嘱作品で、翌年 アンタル・ドラティ指揮で初演されました。−4つの楽章からなり、第1楽章と第4楽章はフルオーケストラのために書かれていますが、第2楽章は管楽器と打楽器のみ (チェレスタを含む)、第3楽章は弦楽器のみで演奏されます。−第1楽章 (中庸な速さで) は不安な気分の曲。戦争後の明るい気分が “穏やかに” 表されるのかという予想は見事にはぐらかされました。第2楽章はベートーヴェンの速歩行進曲のパラフレーズ。スケルツォに相当し、通称 ヨルク軍団行進曲 WoO.18 がスケルツォ的に、グロテスクにアレンジされています。−第3楽章: 対話 (Colloquy) は、2群に分けられた弦楽合奏の対話と、ピッツィカートによるスケルツォ。その間に舞台上と舞台裏の弦楽器独奏が呼応するカデンツァがあります。凝った作りの意味ありげな楽章で、面白い。この楽章だけ独立して、弦楽合奏団のレパートリーとして定着してもよさそうと感じました。第4楽章: フィナーレは勇壮なファンファーレ風の短い導入で始まります。クラリネットなどによるちょっとジャズ・バンドを思わせるような主題が印象的。“セレ―ナ” な部分を含みながらも明るく快活なフィナーレです (10'05+ 3'39+ 9'32+ 9'23)。