オルウィン：交響曲全曲，弦楽のためのシンフォニエッタ　ヒコックス＝LSO （CHAN9429・3CD）

曲目・演奏者

●オルウィン：
[1] 交響曲第1番
[2]　同　第2番　§
[3]　同　第3番
[4]　同　第4番　§
[5]　同　第5番 「ハイドリオタフィア」
[6] 弦楽のためのシンフォニエッタ

■リチャード・ヒコックス指揮 ロンドンso

ディスク・データ

CD// 海外盤 {DDD} CHANDOS＊CHAN 9429 (3) (3枚組)
　発売：95年／録音：1992〜94年／収録時間：72+73+42分
△紙箱付き　△ディスク＝Made in the EU

コンディション

◇ディスク：3枚)A
◇ブックレット：B+〜B/ シワ部分的にあり(強め含む) / 白地部分に軽い変色あり
◇プラケース：B+　◇紙箱：B-/ 背表紙下角から底面にかけてハゲあり(3つめの画像参照) / その他端に小ハゲあり / 線キズやや多し

録音データ・その他

☆[1]1992. 10，[2]1992. 3，[3]1994. 1，[4]1992. 1，[5,6]1993. 1；[2,4]ロンドン・セイント. ジュード教会，[1,3,5,6]トゥーティング・オールセインツ教会における録音。(P) ブライアン・カズンズ、(E) [2]B. コーネラン，[1,3-6]ラルフ・カズンズ 他。
−ウィリアム・オルウィンはイギリスの作曲家, 指揮者, フルート奏者 (1905- 85)。ノーサンプトン生まれ。15歳で王立音楽アカデミーに入学し、フルートと作曲を学びました。フルートの名手として名を馳せ、ロンドン響の首席奏者をつとめたことも。1926年より1955年まで王立音楽アカデミーで作曲の教授をつとめましたが、音楽家であると同時に言語学者、詩人、美術家でもあったとのこと。作曲家としては5つの交響曲と2つのオペラ、様々な協奏曲、弦楽四重奏曲などががあります。その一方で 1941年から1962年までに70以上の映画音楽を手がけており、CHANDOSレーベルからフル・オーケストラによる映画音楽集が発売され、そちらの方の業績も知られるようになりました。
− 「ハイドリオタフィア」という奇妙な名を持つ第5番を (3回続けて) 聞きました。｢ハイドリオタフィア」とは「壷葬論 (こそうろん)」という和訳で知られる 17世紀の医師 トーマス・ブラウン (1605- 82) の著作で、｢キュロスの庭」で終わる2部構成の作品の第1部とのこと。ノーフォークで多数のアングロ・サクソンの壺が発見されたことをきっかけに、古代および現在の埋葬と葬儀の習慣のほとんどについて調査をおこなったとのことです。死生観について書かれているのでしょうか。高い評価を受けている作品のようですが、よくわかりません。ともかく、この交響曲はその著作にインスパイアされた作品のようで、著作の中の最も有名な言葉「人生は純粋な炎であり、私たちは自分の中にある目に見えない太陽によって生きています」は、この交響曲にも引用されているとのことです。急-緩-急-緩の短い4つの楽章からなり、続けて奏されます (計16'27)。不穏で緊張感ある第1楽章、静かであるものの不穏な気分を引き継いだ第2楽章、再び劇的になる第3楽章。そしてチュブラーベルが悲し気に響いて始まる終楽章は、次第に魂の安らぎを思わせる穏やかさと、栄光を感じさせるような高揚感で曲を閉じます。素晴らしい作品と言えそうです。鮮やかで効果的なオーケストレイションを誇りますが、またヒコックスとロンドン響の演奏が素晴らしい！ オルウィンの音がすべて整然と明快に鳴らされ、それでいて劇的効果と緊張感、抒情と情感など、少なくとも最初に聞くのにこれ以上の演奏はないのではないかと思われるほどです。音質も素晴らしい。
−[6]弦楽のためのシンフォニエッタは 急-緩-急の3楽章からなります。8'02+6'07+11'02 = 25'18。この作品も気軽さはなく、緊張感に貫かれた作品。第1楽章はオネゲルやルーセルを思わせる雄渾さ、第2楽章はシベリウスの抒情を思わせたりも。しかし無調への接近も聞かせる終楽章は独創的と言えそうです。悲劇的な曲想から最後 長調に転調して安らぎの曲想となり、曲を終えます。全曲を通して現れる vn, va, vc のソロの彩りも効果的。