モーツァルト：悔悟するダヴィデ，エクスルターテ　マリナー＝RSOS，マーシャル(S) 他 （32CD828）

曲目・演奏者

●モーツァルト：
[1]「悔悟するダヴィデ」K.469 (オラトリオ)
[2]「エクスルターテ ユビラーテ (喜べ 幸いなる魂よ)」K.165 (モテット)

■ネヴィル・マリナー指揮 シュトゥットガルト放送so　マーガレット・マーシャル(S)　[1]南ドイツ放送cho　イリス・フェアミリオン(MS)　ハンス- ペーター・ブロホウィッツ(T)

ディスク・データ

CD// 国内仕様盤 {DDD} Ph−フィリップス＊32CD-828 (420 952-2)
　発売：88年／定価：3200円／録音：1987年／収録時間：60分
△海外盤に8ページの日本語解説書と長オビを附したもの / 歌詞対訳掲載
△ライナーノート：石井宏　△プラケース＝ハード・タイプ
△ディスク中心部の刻印＝MADE IN W. GERMANY BY PDO，420 952-2 01 #

コンディション

◇ディスク：A-/ 小スリキズ少しあり / 内縁に細かいスリキズあり / 外縁に小スリキズ少しあり(強め含む)
◇ブックレット：A-〜B+/ 軽シワ少しあり / 白地部分に変色あり
◇日本語解説書：A-〜B+/ シワ部分的にあり(少なめ / 強め含む) / 白地部分に軽い変色あり
◇プラケース：B+　 ◇バック・インレイ白地部分に軽い変色あり　◇長オビなし

録音データ・その他

☆1987. 6〜7 シュトゥットガルトにおける録音。(D) マイク・ブレムナー、(E) O. スコルツェ．R・デ ショット。
−珍しい作品である[1]は音楽家の未亡人や孤児のために設立されたウィーン音楽芸術家協会 (のちの「ウィーン楽友協会」の前身) のために書いたもの。1785年作曲。とはいえ当時 モーツァルトは作曲だけでなく演奏の方でも大人気。新たな大作を書き上げる余裕はなかったようで、直前に作曲していたハ短調ミサ K.427 (キリエすべてとグローリアの大部分) を転用することにしました。ミサ曲はザルツブルクで披露されたものなので ウィーンの聴衆には転用だとはバレないだろうと考えたようです。10曲中 2曲のアリア (第６, 8曲) を新たに作曲したものの、転用曲は新しく楽譜を作ることもせず、ミサ曲のスコアに書き込みして間に合わせたとのことです。そうしたことを知らずに聞き始めると、なぜかハ短調ミサが始まったと頭が混乱してしまうことでしょう。−ミサ曲はラテン語歌詞ですが、当曲はイタリア語。フレーズの区切りの場所を変えるなどの芸当を駆使して新たな歌詞をはめ込んでいます。なお歌詞の作者はダ ポンテの作ではないかと推測されているようです。−ところでその歌詞にダヴィデは出てこず、ひたすら神にひれ伏し、謝罪し、神を讃えています。ダヴィデは何を悔いているのか調べてみますと、兵士ウリヤの妻バテシバと密通して身ごもらせ、さらにウリヤを戦場で死なせたという罪のようです。現在はいざ知らず、当時のヨーロッパでは常識だったのでしょう。なお罪の悔い改めと赦しを求める詩として有名な旧約聖書詩篇51はダヴィデの悔悟として知られているとのことです。
−日本語解説書で石井宏氏が、この曲がほとんど演奏されないことは不当だと訴えておられるのが面白い。バッハなら自作の転用はまったく問題にされないのに、なぜモーツァルトでは価値がないとされるのか とおっしゃるのもごもっとも。ハ短調ミサは未完成ですが、これは完成している。新たなアリアが2曲あることを考えれば、確かにもっと演奏されてしかるべきと言えそうです。−ところでハ短調ミサは未完ながらモーツァルト自身の指揮で演奏されていたのですね。以前作曲したミサ曲を転用して演奏したと考えられているようです。次々と作曲して演奏しないといけない、常に締め切りに追われている、恐ろしく多忙な時代だったことが伺えます。
−演奏も素晴らしい。オケが手兵 ASMF ではなくても マリナーらしい清潔な音による洗練された美しい演奏であることに驚かされます。軽やかなリズム感、絹のように滑らかなヴァイオリン。合唱も素晴らしい。天上の演奏のようであることは宗教曲に合っています。歌手たちも好演ですが、マーシャルはやや張り切りすぎという気もします
−国内初CD化盤。